機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

2022-01-01から1年間の記事一覧

身の危険

会社を出た時には雪は降っていなかった。 でも5分もすると突然大粒の雪が猛烈に降り始めた。 道路は見る見るうちに白ずんでいく。 自転車も自分自身も前側だけに雪が積もり始めて、視界も悪くなって前も見えにくいし寒いし漕ぎにくいし、金属の上はつるつる…

タイパ

タイムパフォーマンス、略してダイパ。 録り溜まって未視聴になってるテレビ番組を見る時に倍速で流し見したりしていたんだけど、 あれが新聞に載るほど市民権を得ている手法だとは思わなかった。 情報番組ならまだしも、演技や演奏を伴うものまでそんな見方…

綺麗な花

花はずっと昔から咲いている。 地球上にまだ誰もいなかった頃。 まだ美しい、ていう概念すらなかった頃。 その頃に咲いた花は、 誰にその姿を見せようとしていたのだろう。

師走にて

先月からずっと喉の調子が悪い。 ギターは弾けども声は出ず。 頭の片隅にずっと掌があって、 いつになったら録るんだと急かしてくる。 録りたいんだよ。 でもこんな声では録りたくないんだよ。 通勤途中に携帯が鳴った。 自転車を漕ぎながら見ると、 母から…

チャリの細道

踏切の脇にある抜け道に入る。 幅1メートルにも満たない細い道だ。 長さはだいたい100メートルほど。 昨日までその道を埋め尽くしていた落ち葉が、 今日は綺麗に履かれていた。 誰かが掃除してくれたんだな。

風が変わった

いよいよ冬が来る。

束の間の

非日常は、 朝から晩までの全部が思い出だった。 記憶が新しいうちはしばらく反芻したいなって思う。

期待と希望

期待とは、 見返りを求めること。 希望とは、 変化を待つこと。 だとしたら期待も希望も有限だ。 何もしなければいつかは尽きる。

修学旅行の朝

今日は早くに飛び起きていた。 おはようと言うと、 おはよう、へへへ、 熱とか出なくてよかったのう、 うん、へへへ 天気も晴れでよかったのう、 うん、へへへ あんた朝から嬉しそうじゃのう、 うん、へへへ と朝から嬉しそうにしていた。

折り紙G

黒い折り紙でゴキブリの形を原寸で作り、 セロテープでわざわざ黒光りの質感まで再現した彼女は、 玄関の床の上にそれを置いて内輪で仰ぐことにより 形状だけではなく床の上の高速移動まで再現するに至った。 ただいまって帰ってきたらこれで驚かしてやるん…

チラシの裏の手紙

彼女は嬉々として手紙を書くのです。 次の日曜日に家で工作をしよう、という ただそれだけを伝達するために 文章の近くに花びらや自画像まで描いて、 私の晩御飯のお椀のそばに 置いているのです。 そして次の日の朝に 手紙、見た? と聞いてくるのです。 そ…

トゥルーマン・シンク

この間まで半袖で余裕だったのに。 暑いって言いながら汗を拭っていたのに。 それがもうこんなに寒いなんて。 そしてもう来月で今年が終わるなんて。 嘘だろう。 寝てる間に皆んながカレンダーを進めて、 一晩しか経っていないのに何日も経ったことにしてる…

大衆に媚びる

大衆に媚びて成功した人はいない。 その言い方は成功しなかった人の僻みでしかない。

さっきまで

後ろから俺を見下ろしてきた月は、 坂道を上る時には俺の前にある。 いつの間に回り込んだんだろう。

会社を出る時には

空は晴れていた。 でも自転車を漕ぎ始めてすぐに、 雨雲は広がっていった。 家まで三駅、というところまで行った時、 突然の大雨。 大きな雨粒が激しく顔を打ってきた。 橋の下で雨宿りをしようかと思ったけど、 いつ止むかも分からない降りように 体が冷え…

5冊の本を買う

買ったのは、 デザインのデザイン。 極夜行。 ピクサー流創造するちから。 〆太よ。 ロカ。 読んでない本がまだたくさんあるんだけど、 こっそり本棚に加えておく。

学校で本を読んだんだよ

わらちぇびちょうじゃ? わらわらじょうじ? わかった、 わらってびちょうじゃじゃ。 わらしべ長者だよ。

朝の匂い

布団を畳んで、窓を開けると、 そばにいた下の子が 朝の匂いっていいよね、 と言った。 いい匂いするか? と言いながら外の匂いを嗅いだけど、 俺にはよく分からなかった。 そっちの窓じゃないよ。 こっちの窓からだとよく分かるよ。 そう言うのでこっちの窓…

好きニング

好きになるのは早い。 嫌いにはなるのはもっと早い。 好きから嫌いになるのも早い。 でも嫌いから好きにはほとんどならない。 だから好きは大事にしないといけない。 好きのままでいるには少し努力が必要だ。

いよいよ

頭から崩れてきそうな気配がしてきた。 もはや崩れてしまえばいいんだ。

そこに道はある

新幹線の中から外の景色を眺めていると、 時折、田んぼの多い山間地や山合いの集落を走り抜ける。 山の麓の舗装されていない急な斜面の道に鳥居がかかってる。 車が1台しか通れない広さの道が田んぼの中を貫いてる。 鬱蒼と繁った森の中に続く薄暗い道。 あ…

ローリングデイズ

兄は1週間ほど実家に帰省した後、 昨日、横浜に帰って行った。 空港までは妹夫婦が送ってくれたらしい。 実家でテレワークをして、海外の人と英語でテレビ会議するとかスゲエと思う。 そんな仕事の合間に農作業を手伝うという、お洒落なライフマガジンとか…

やっと

自転車が直った。 これだけ待ち焦がれたということは、 それだけ愛着が湧いてるということなんだな。 自分でも驚くくらいだ。 久しぶりに漕ぐ自転車。 やっぱり気持ち良かった。

台風の後には

どうやら季節は秋へと進んだらしい。 一夜にして、風や水や空気の温度が変わった。

稲刈りと台風と父と

九月、といえば行楽ではなく、 自分の場合は稲刈りだ。 実家にて、家族総出の週末労働月間。 不安定な天気の狭間で機械を動かす。 しかもうちの場合は稲刈りの後の 乾燥と籾摺りまでやってるから、 それなりに仕事は多い。 だけど、今月はどうにも週末の天気…

掌11

今月の頭から自転車をメンテに出している。 毎朝通勤時にイヤホンで、 以前に録った自分のギターを聴きながら、 心の中で歌う。 心の中の歌声はばっちりだ。 だけど実際に録って改めて自分の歌声を聞いたら愕然とするんだろうな、と思う。 カホンを重ねるの…

万人に対して

伝えたいことなんかあるわけないだろ。 政治家だってそうだろ。

熱くなれ

いや、例えば水を熱くさせるには 鍋に入れて火にかける必要があるわけですよ。 そのお湯だって火を消したら冷めていくじゃないですか。 熱くなれって言うならまず俺を熱くさせる何かをして下さいよ。 やっぱ燃料が必要っすよ。

ご飯を頬張りながら彼女は言った

みんなTikTokやジャニーズが好きって言うんだけど、 わたしはTikTokとか見ないしアイドル興味無いし、 今も工作が好きだし、あと歌うのとかも好きなので、 幼稚園の時と変わってないねー

歯を磨きながら彼女は言った

ゲームは楽しいけど、 ゲームが上手くなってもあまりいい事ないよね、 何も残らないじゃん。 工作したら形に残るじゃん、それがええんよ。