夏の終わりを意識させるかのような風の冷たさ。 残像をさらっていく。

パパきらーい、ママすきー、 とか言うもんだから、 パパもそうちゃんきらーい、 って言ったら泣いた。 三歳児の心は繊細だ。 そしてパパはもう二度ときらいと言うのはやめようと思った。

後から言うのは簡単なんだ。 どうせなんにもしないんだったら、 せめて黙ってろ。

他人事、と思った方が楽なんだよ。 自分事、と思ったら押し潰されるんだ。

無関心は忘却に繋がり、そして行き着くのは無知じゃないのか。

何か新しいものを手に入れたときの喜びと、 失っていたものを取り戻したときの喜びと。 どっちが大きいかって言ったら、 それは後者だろ。

嬉しいことは共有しよう。 悲しいことも共有しよう。 それ以外の怒りや憎しみや蔑みや嫉妬や正義感や自尊心は、 しまっておきたい。