パパ、おかえり。 ご飯食べてからお風呂に入る？ じゃあ、ご飯食べてる間に絵本を選んでおくから、 お風呂上がったときにぼくがまだ起きていたら、 絵本読んでね。絶対ね。

通勤途中、あるマンションの前で女の人に呼び止められた。 一見して、化粧もボロボロで、なんだか泣きはらしたような表情をしていた。 あの… 実は、財布を落としたんです、 品川行きの切符と、10万円入ってたんです… 一晩中探して歩き回ったんですけど、 見…

夜の9時頃、仕事帰りに歩道上でアイフォンを拾った。 パスワードはかかっておらず、 アイフォン上で持ち主と連絡がついた。 15分ほどして、原付に乗った大学生とおぼしき 青年がやってきた。 彼は、 あ、拾ってくれた方ですか、 ありがとうございます、 とだ…

四歳の下の子は、朝っぱらから大きな声で オリジナルソングを歌う。 「そーこにはー、一緒にー、歌うのよー、 いつもー、わたしはー、レッツゴーなのよー」 そして歌いながら走る。 とにかく走る。 リビングを一周し玄関を通り過ぎ 洗面所で折り返し再びリビ…

いや、わかってるんだ。 その辺りにいる奴ら、 ほんとはみんなわかってるんだ。 大したことない人生だってこと。 けど、認めたくはないんだ。 だから美化するんだ。 ドラマチックな人生なんか 自分では望んでいないけど、 なぜか人からはそう思われたいらし…

そんなこと言われても、 手の大きさはこれ以上大きくならないんだ。

そんな中途半端じゃダメだ。 考え抜かなきゃダメなんだ。 多くのプロフェッショナルはそう言ってる。 考え抜くのがプロなんだ。 わかっちゃいるけどしんどいね。

カミさんが肩が痛いというので、 後ろから少し強めに肩を揉むと、 下の子がパパ、私が揉むから抱っこして、 と言った。 後ろから両脇を抱え上げると、 下の子は両手でママの肩を揉んだ。 そうすると今度は上の子が椅子を運んできて、 パパの後ろに置いた。 …

六歳の体には似つかわしくないくらい、 意外と大きい傘だった。 大きいね、と言うと、 雨の時に傘を忘れた人を入れてあげるからいいんだよ、 と彼は言った。

ありがとうとか、ごめんとか、 そういう言葉が素直に言えないときがある。 よくある。 ほんとは一番素直に言わないといけないのになあ。

今日は絵本、たくさん読んでね。 いーぱいいーっぱい読んでよ。 布団に入る前、絵本棚の前で、 えらく悩みながら十冊ちかく選ぶ。 枕元にどさっと絵本を置くと、 満足そうに布団に入る。 枕元の電灯をつけて、 少しゆっくり目に読み始めると、 橙色に照らさ…

明日さ、この鬼のお面をかぶって、 パパを驚かそうや… いいねえ、絶対怖がるよ… ほうじゃね… そうしようや…

パパ、起きて。カルタで遊ぼう。 昨日遅かったからもうちょっと寝かせて。 じゃあもうちょっと後でね。 パパ、起きてよ。カルタで遊ぼう。 あと十分したら起きるよ。 パパ、十分経ったよ。 ええ？まだ経ってないじゃろ？ さっき起きるって言ったじゃん。 パ…