機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

稲刈りと台風と父と

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九月、といえば行楽ではなく、

自分の場合は稲刈りだ。

 

実家にて、家族総出の週末労働月間。

不安定な天気の狭間で機械を動かす。

しかもうちの場合は稲刈りの後の

乾燥と籾摺りまでやってるから、

それなりに仕事は多い。

 

だけど、今月はどうにも週末の天気の具合が良くない。

こないだの週末は帰って何とか一日狩れたけど、

次の週末には台風が来るという。

 

米が良い色に実っても、雨が降っては狩れない。

雨が止んでも穂が濡れていたら機械に通らないから、狩れない。

しかも台風が来たら、稲が倒れて水に浸かる可能性もある。

そうするとますます狩れない。

 

しかし俺らは週末しか手伝えない。

 

嫌な予感がして水曜の仕事帰りに父親に電話してみた。

「まさか今日、平日だけど稲刈りした?」

すると

「今日、刈ったど」

と言う。

「明日も狩るど」

と言う。

 

やっぱりか。

あんなにしんどい作業を母と二人だけでやったのか。

しかも力仕事は全部、父がやったという。

「母ちゃんが重いものを持とうとするけー、

持つな、わしがやったのが早い」

と言って待たせなかったという。

 

仕事休んで手伝いに帰りたいところだけど、

今週はもう客先訪問だの見積だの仕事の予定がキツキツだった。

 

じゃあ週末に帰っても簡単な仕事しか残ってないじゃないか、

と言うと、

おお、そうよ、それでも手伝ってくれ、

そしてビールを飲もう、

と父は言った。