機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

師走にて

先月からずっと喉の調子が悪い。

ギターは弾けども声は出ず。

頭の片隅にずっと掌があって、

いつになったら録るんだと急かしてくる。

録りたいんだよ。

でもこんな声では録りたくないんだよ。

 

通勤途中に携帯が鳴った。

自転車を漕ぎながら見ると、

母からのラインだった。

ハハハ、という文字が見えて、

ハハハってなんだ、と二度見したのがいけなかった。

気付くと目の前にガードレールがあって

ハンドル操作を誤って不覚にも転倒してしまった。

チェーンが外れて、それをはめ直している時に

また携帯が鳴った。

すみません、熱が出ました、

というM君からの電話だった。

 

ここに来て身近においてもコロナ陽性になる人は珍しくなくなった。

行動規制の無い中で、どこまで対策を行うのかはもはや個人の価値観だ。

マスクはいらない、という人もいれば、

イベントの参加や外食を躊躇う人もいる。

 

何人かの友人から飲みに行こうと誘われた。

呑みに行きたいですが、しばらくは無理そうですね、と言う人もいた。

師走の折に一年を振り返りながらお酒を酌み交わしたいって思うけど…

なかなか気軽には行けない。

 

Sさんがお勧めしていた、 

あなたのための短歌集、という本。

大型の本屋にはなかなか置いていなかったんだけど、あるお店で中古本を見つけて買うことができた。

短歌がこんなに洒落て味わい深いものだとは、

正直思ったことが無かった。

一日に数ページだけ、味わうように反芻して読む。

 

会いたいな、と思う人には会えないまま、

今年も終わりを迎えそう。