機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

彼は俺の心をもてあそぶ

ただいま、とドアを開けると、
奥からこっちに来る気配が。


「おー今日は迎えに来たな!」
と言い終わる前に、
彼はニコニコしながら俺の前を(こっちを見ることもなく)
通り過ぎ、洗面所で歯を磨いていたカミさんのところに行った。


一瞬だけ期待させといて見事に裏切る手口。
一歳児のくせにやることがえげつない。


これはアレだ。
もしかしてチョコレートもらえるかのう、
と思って一日を過ごしたけど見事に一個ももらえなかったあの感じ。
もしかして付き合ってくれるかのう、
と思いながら告白したら見事に瞬殺だったあの感じ。
もしかして告白されるかのう、と思ったら
単に手紙をことづかっただけだったというあの感じ。


あの感じだ。
そのうち俺が「うぇーん」て泣くぞ。