機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

嵐がやってくる

もうすぐカミさんが子供たちを連れて帰ってくる。
帰ってくる前にできることをしておかないとと思って、
今日はあちこちに行ってきた。
でも時間は足りなかった。


生まれて一ヶ月が過ぎて、彼女の顔はずいぶん変わってきた。
相変わらず泣いたり飲んだり寝たりばっかりしてる。
でも今日は珍しく笑ってた。
それで俺も笑った。


カミさんはこの間、乳腺炎になった。
俺はこの間、風邪を引いて久々に寝込んだ。
やらなきゃいけないことを手帳に書くけど、
それでもやらないということは書き方がいけないのか
それとも俺が馬鹿なのか。
たぶん両方なんだろう。
そんな中で長男は少しずつ色々を覚えようとしてる。
「これは時計。と、け、い、言ってみ」
「お、け、い」
「うん。OKOK」


引っ越して半年近くになるけど
今頃になってベランダ用のスリッパを買いに行った。
買い物途中に売られている花が目に付いて、
ああそういえばもうすぐ母の日だ、そして母の誕生日だ、
何か買わなきゃな、と思った。


車に乗って家に帰ろうとしたとき、その母からメールがあって、
「もうすぐ三人が帰ってくるのでしょう、
大変だけどかわいくてかわいいねうれしいね、
歳をとり後から思うとその頃が一番幸せなときです」
と書いてあった。
なるほどそうか。
忙しさの中で日々は転がるばかりだけれど、
日常にこそ噛み締めなくちゃいけないものがある。


今、ひとりの真夜中はとても静か。
外は物音一つしない。
こんな夜中はしばらくないだろうなあ。
きっと何度も、泣き声で起こされるんだろうなあ。


洗い物して寝よう。