機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

通勤電車のカメムシ

通勤電車にて。
座席に座った次の瞬間、自分の左膝のわずか数センチ横に何かが動く。
ナニ?と思ってみると、左に座ってるおばちゃんの右膝の上をカメムシが移動中。
おばちゃんは爆睡中。俺びっくり。


「ちょっとおばちゃん、膝の上にカメムシがいますよ」
と言うべきなのか悩む。
でも言ったとしてどうする。
寝起きのおばちゃんが悲鳴をあげてその拍子にカメムシがびっくりして
俺の方にきたらどうする。
ティッシュで確保するか?
でも知らないおばちゃんの膝に突然ティッシュを当てたら
カメムシの存在に気づいていない周囲の人たちに変態扱いされやしないか。
おばちゃんの膝をはたく?
でもおばちゃん寝てるし、刺激してカメムシお得意の
異臭攻撃をされるかもしれない。
失敗してフライングモデルにでも変形されたらもはや車内は地獄絵図だ。


考えてるうちにカメムシはおばちゃんの右膝の端っこに到達して、
膝から下におりるべきか飛び立つべきか考えはじめた。
あっやばい。どうする。どうする俺。
迷う時間はない。
なぜならそれから十分もすれば次の駅で身動きとれないほど乗客が増えるからだ。
そして俺はどうしたか。


A. おばちゃん起こす。
B. カメムシをはたく。
C. 逃げる。


はい。正解はもちろんC。
席を立って隣りの車両に避難するという
もっともヘタレ且つ防御率100%の行動を取った。
あの後満員電車の中でカメムシがどうなったのかは本当に知らない。


今から考えても、結局どうすれば良かったのかわからない。
逃げる以外に勇者になれる行動があったんだろうか。