機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

カミさん35週

ずいぶん派手にお腹を蹴る。
エコーの映像に写る心臓はとても早く動いていて、
彼女は今日も元気だった。


相変わらずコレだ、と思えるような名前に出会えず、
ああでもないこうでもないと言いながら名づけに悩む日々。
「こういう名前はどう?」
「うーんちょっとなあー。俺はこんなの考えた」
「うーん、なんか響きがちょっと…」
うーんとかちょっととかが多い会話をお腹の中で聞きながら、
「もーさっさと決めてよ」
とか思ってるかもしれない。


俺は四人家族のお父さんになって、
カミさんは四人家族のお母さんになって、
そうちゃんはお兄ちゃんになって、
ベイビーは末っ子の女の子。
…と想像するけど、
想像できるようなできないような、
やっぱできない。


予定日は三月中頃。
春の嵐の予感。
がんばれカミさん。
がんばれそうちゃん。
がんばれ俺。