機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

行ってきます

そう言って玄関を出ようとした時、

子供たちがカードを渡してきた。

昨日は渡せなかったから、

今見て、と言いながら。

 

カードを開くと、

笑った顔と、

いつもありがとう、

大好きだよ、

と書いてあった。

 

ありがとう、でももう時間だから、

帰ったらちゃんと見るよ、

と言って足早に家を出た。

 

自転車を漕ぎ始めてから、

泣きそうになるのを一生懸命こらえた。

 

たくさん笑って、

ご飯とか一緒に食べて、

遊んだ後に風呂に入ったりして、

ありがとうってぎゅっとしたかっただろうな、

苦しかっただろうな、

怖かっただろうな、

悲しかっただろうな、

悔しかっただろうな、

と想像した。

 

やってられなかった。