機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

資料館の人形

広島の原爆資料館に、
「爆風を受けて服や皮膚が焼け爛れた人々」を模した
蝋人形がある。
一見して、まるでお化け屋敷にあるオブジェではないかと
思ってしまうくらいに怖い。


その人形の展示を取りやめる動きがあるらしい。
理由は、それを見た多くの人から「怖い、不気味だ」という
ような声があったからだそうだ。


おかしいだろ、と思う。


戦争は怖いものであり、悲しいものであり、
そして焼けただれた街や血だらけの人は、不気味だ。
だから戦争はしてはいけない。
焼けて曲がった鉄や破れた服などの「遺品」ももちろん戦争の
悲惨さを伝えるものではあるけど、
どういう印象になるかは見る者の想像力に左右される。


例えば自分は小学生のときに資料館の見学に行って
何を覚えているかといったら、あの蝋人形だった。


身を以って戦争を経験していない人が増えていく中、
戦争の怖さ、悲しさ、不気味さを強烈に印象付けるあの人形は、
資料館にあり続けるべきだと思う。