機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

全盛期は前世紀

営業の合間に隙間時間ができて、

訪問先近くの喫茶店に立ち寄ろうとする。

 

店内暗すぎだしそもそも入り口横には

「closed」ていうフダがかかってるし、

でも先客らしき人がいるしで、

こりゃダメかなと思いつつ恐る恐るドアを開け、

ダメモトでやってますか、と聞くと

年配のおじいさんが、

やってるよ、と答えてくれた。

 

店内に入る。

まず目の前のカウンターの上には新聞が散乱。

席に着いた後に目の前に置かれたお水のグラスにもなんだかわからない黒いものがついていたり、テーブル上にはタバコの灰が落ちていたり、今時珍しく店内全域が喫煙席で、全体的に清潔感はない。

店の奥にある黒い大きな台の上には大量のチラシが置かれていて、なんだアレはと思ってよく見たらそれはカバーのかかったグランドピアノだった。

 

どうやらここ、昔はいわゆるジャズ喫茶だったみたいだ。

だから店内のBGMもそれなのか。

 

アイスコーヒーを注文した後、

おじいさんはどこかに出掛けて行って、

代わりにおばあさんが出て来られた。

 

昔はきっと店内でジャズのライブとかされていたのかな、と思ってネットで調べてみると、

やっぱりそうだった。

ていうか、開店が1960年代とか。

すごい歴史じゃないか…

お店の全盛期はきっと今より存在感も活気もあったのだろう。

 

ひたすら長い時間の流れに思いを馳せながら、

1時間かけてアイスコーヒーを飲んだ。