機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

育児は歌にならない

恋愛は基本的に自分と相手だけで完結するし、
感情や体の探り合いがあって、
ネチネチといろんなことを考えられる時間の隙間もある。


だから恋愛は詩になるし、歌になる。


育児はそうはいかない。
ウンチやシッコ、おもらしに食べこぼし、
石ころどんぐり水たまり、
アレはイヤだよこれもキライ、
ダメダメダメにウエエエン。
とにかくバタバタで考える時間の隙間などない。


だからあんまし詩にも歌にもならない。


でも、育児にも詩的な瞬間はある。


絵本を見るときのまなざし。
外を歩くときに握る手の小ささと、
しっかり握り返してくる感触。
家に帰ったときに見る穏やかな寝顔。
初めてトイレでウンチしたときの笑顔。
いつの間に覚えたのかわからない、いたわりの言葉。


ウンチや食べこぼしやダメやウエエンの中に
あるから埋れがちだけど、
心に響く瞬間があって、
そこだけすごく詩的なんだ。
でも本当にそこだけ。