機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

明け方の攻防

このところ、夜中から朝にかけて、彼はとなりで寝ている。


でも明け方頃にぱちっと目が覚めて、
「あうー」とか「んぎー」とか言いながら
顔をばしばし叩いてきたり、腕をつねってきたりする。


目が覚めて枕もとの時計を見ると
「なんだこの野郎まだ五時じゃねえか」
と思うのだけど、
彼のまっすぐな目を見るともちろんそんなことは言えない。
「まだ五時ですよ、もう少し寝てくださいよ…」
と敬語でお願いしながらお腹をポンポンしたり
頭をさすったりする。
そうするとそれが心地いいのか、
「ああなんか心地ええんよ」
みたいな表情をしながら再び眠りにつくこともある。


でもそのポンポン攻撃や頭ナデナデが全く効かないときがある。
そのときはカミさんが
「はいはい、寝てー…」
と嘆願しながらだっこして寝かしつけたりする。
もちろん寝かしつけられている間でも
カミさんの口に手を入れたり腕をつねったりする。


そうこうしているうちに起きなくちゃいけない時間になって、
目覚まし時計が鳴ることもある。


せめて目覚まし時計が鳴るまではあんまし顔とか腕とか口とか
触らないで下さい、と思うのだけど、
彼はこちらの要求などおかまいなし。
完全無視だ。


次の朝はどうかな…
今のところ彼はとても静かに寝ている。