俺が子供の頃は、テレビで紹介される恐怖のコンテンツというともっぱら心霊写真だった。
マール描いてチョン、マール描いてチョン、
と言いながら描けそうな「よーく見ると顔に見えなくもない」
感じの影に対して、
神妙な顔をした霊能力者が「これはこの付近で自殺した人ですね」
なんて無責任なコメントをして、
それを見た俺は
「確かに顔に見える。そういえば苦しそうにも見える」
と想像を膨らませて、びびっていた。
が、今は心霊写真なんてほとんど見かけなくなった。
そしてかわりに大量の「心霊ビデオ」が出回っているようだ
(youtubeなんかで探すといくらでも見つかる)。
そこには想像を膨らませるまでもなく、
一目見ただけでお化けと分かるくらいに鮮明な映像がある。
要するによくできた合成映像だ。
確かに写真に比べるとそっちの方が刺激的なんだけど、
あまりに作為的だから
「ふーん。よくできた映像だね」
と思って見てしまう。
中には「呪怨」や「リング」あたりを見て研究したんだろなとおぼしきモノもあって、
わかっちゃいるけど怖いのもある。
映像編集が今ほど一般的でなかった昔は、
たとえウソ臭い写真であっても
「それにしてもいったいどうやって撮影したんだろう??」
と不思議がることができた
(有名なネッシーの写真とか、イギリスの少女が撮影した妖精の写真とか)。
だから「うーん。もしかして本当かも…」と思うこともできた。
そんな風に詮索できなくなっちまったのは、
やっぱちょっと面白くない気がするのう。