機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

道端に座る男と、道を歩く男

道端に座っている男が、道を歩く男に言った。
あんたはどこに向かっているんだい。


道を歩いていた男は立ち止まって、はるか前方を指差して言った。
あそこに光が灯っているのが見えるだろう、
俺はあそこに向かってるんだ。


座っている男が言った。
光?
私には何も見えないがね。
あんたが見ているのは幻さ。
そこにたどり着いても、なんにもありゃしないさ。


立ち止まっている男が言った。
あれが幻かどうかなんて、どうでもいい。
俺には見える。
それでいいのさ。


そう言って、男はまた歩いていった。