機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

種を配る

朝、駅に向かって歩いている途中、
不意にカープのキャップをかぶった小学生が近づいてきた。


マリーゴールドの種、いりますか?」
一瞬何を言われたのか分からなくて、
「え?なに?」
と返すと、彼は笑いながら
マリーゴールドの種です。いりますか?」
と言って、手のひらの上の花の種を見せてくれた。


「あ、いるいる。ありがとう」
そう言うと彼は嬉しそうに種を一つかみして渡してくれた。
そして走り去った。


彼は今日、ああやってみんなに花の種を配りながら
登校するんだろうな、と想像した。
それはとても良い時間だと思った。