実家の母に聞いた話。
つがいの鳥が、庭に巣を作って、せっせと子育てをしていた。
5羽の子供たちは、二羽の親鳥が交代で運んでくるエサを食べて、
順調に大きくなっていたそうだ。
先日の早朝。
ガサガサ、という外の気配を察知して、家の中で寝ていた
飼い犬の竜馬がワンワンワン、と吠えた。
母が急いで外に出てみると、
鳥たちの巣がカラスに襲われた直後だった。
巣には一羽の鳥もいなくなっていた。
しばらくすると片方の親鳥(父親か母親)が、
エサを口にくわえて巣に戻ってきた。
そして巣の異変に気づく。
電柱の上からチッチッチと鳴いて
もう片方の親鳥を呼ぶけれど、応答は無い。
どうやら巣に残っていた親鳥も、
5羽の子供たちを守ろうとしてやられてしまったようだった。
カラスはエサを探しに行っていた一羽の親鳥以外を、
みんなさらっていってしまった。
残された親鳥はそれからずっと、いなくなった家族を探して
チッチッチと鳴いていたらしい。
こういうことは、自然界の中ではよくある話。
食べることは命をいただくことだってことも分かってるのだけど。
でもやっぱ凹む。
できるなら巣立ってほしかったと思う。
母は、来年に来訪するかもしれない鳥のために、
鳥の巣箱を作ると言っていた。