機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

当たり前だった

当たり前だった場所に当たり前にいた人がいなくなったとき、
そこに当たり前にあった様々なモノたちが、痛烈に主張する。


着ていた服や携帯電話やカバンや歯ブラシや本やCDや靴。


それらは視界に入ると同時に心を突き刺して、
遺された人を容赦なく揺さぶる。


心の中の淀みはきっと無くならないだろう。
だから時間を継ぎ足して継ぎ足して、ひたすら薄めていくしかない。


どうか自暴自棄にならないよう。
いつか平穏な時間が過ごせるよう。


そう願うばかり。