機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

初めて立ち上がる

彼はソファに両手を置いて、
危なっかしい足取りでなんとか立っていた。
少しするとペタン、と座り込んだのだけど、
それは彼にとって人生初の捕まり立ちだった。


その様子を、カミさんが撮ったビデオで見た。
「おーすごいじゃんか!よし、今やって見せてくれ!」
と彼を奮い立たせて目の前でやってもらおうとしたのだけど、
「触んじゃねえよ」と言わんばかりに俺の手を振りほどいて、
ワーンとカミさんの方に抱きついていった。


やるかやらないかは気分次第らしい。