機械仕掛けの豚

クソみたいな世の中だと憂う前に、目の前のものを愛そう。

ハト一味

今日は天気が良かった。
ちょっと十分ほど時間があったので、
公園のベンチに座って一人でぼけーと空を眺めていた。

すると5羽のハト一味がベンチの前にばたばたーっと降りてきた。

彼らはしばらく周辺をうろうろしてた。
その時ハトはたぶんこう言っていた。

「おいおっさん。エサくれよー」
「エサだよ」
「聞こえねえのかエサくれよ」
「エサ持ってねえんかよ」
「エサちょうだい」
「アイウォントゥーエサ」
「だからエサだっつーの」
「エサエサエサ」
「ギブミーエサ」
「くれくれエサくれ」


いやすまん。
君たちにあげられるものは持っていないんだ。


何もせずにジーっと見ていると、諦めたのか
全員がその場に腰を下ろした。


ハトの首の動きって独特だなあ、
と思いながらジーっと見ていると、
遠くのベンチに人が腰掛けた。


その時ハトはたぶんこう言っていた。

「あっ」
「あっちに誰かいるぜ」
「あの人ならエサ持ってるんじゃねえの」
「こんなおっさんほっとこうぜ」
「いこうぜいこうぜ」
「エサエサ」


そして一斉に遠くのベンチに飛んで移動していった。


…彼らはベンチに誰かが来るのを常に張り込みしているのかなあ。